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多摩武蔵野ウォーキング
 
日野市  HINO   
  高幡不動尊・あじさい祭り
たかはたふどうそん・あじさい祭り 
多摩随一の古刹を訪ね、あじさいの花咲く丘を散策する山内巡拝ウォーキング

日野市には、関東を代表する古刹のひとつである高幡不動尊金剛寺がある。境内には室町時代から近代に至るまでに建立された歴史的な建造物が数多く建ち並び、仏像や工芸品、新選組関連の資料など、国や都・市が指定する数々の重要文化財を所蔵している。また、寺院敷地内には多摩丘陵の一角である緑豊かな不動ヶ丘が広がり、一年を通じて様々な花木を楽しめるほか、山内八十八ヶ所巡りのコースを巡拝しながら散策できる。6月には丘一面に色とりどりのあじさいが花開き、華やかに境内を彩る風景は見事。歴史と風光明媚な景色に包まれた金剛寺を中心に、花盛りの巡拝路コースを散策してみよう。

 
 
全長
約2キロ
所要時間
約2時間
Access :電車
京王線高幡不動駅、または多摩都市モノレール線高幡不動駅で下車
Access : 車
国道20号で日野本町から川崎街道に入り約10分
おすすめ
シーズン
4月の桜、6月のあじさい開花シーズンがおすすめ
 
 
 
1 高幡不動駅南口
 ↓
徒歩1分
2 高幡不動尊金剛寺
仁王門
 ↓
徒歩1分
3 不動堂・奥殿
 ↓
徒歩1分
4 山門・大日堂
 ↓
徒歩1分
5 五重塔・弁天池
 ↓
徒歩分
6 不動ヶ丘・四季の道
 ↓
徒歩10分
7 山内八十八ヶ所巡拝路
 ↓
徒歩30〜40分
8 馬場跡・高幡城址
 ↓
徒歩10〜20分
9 鐘楼・大師堂
 ↓
徒歩2分
10 高幡不動駅南口
 
 
 

 高幡不動尊金剛寺    季節を彩る花々と荘厳な境内に圧倒される関東屈指の名刹

 
京王線高幡不動駅の南口を出ると、駅前ターミナルの右手に赤い門の建つ参道が見える。通年参詣者で賑わうこの細い通りには小さな商店が連なり、店先には多摩出身でお馴染みの新選組隊士たちの名があちこちに踊っている。そんな宣伝を見て初めて気づく人もいるかもしれないが、ここは駅の北東に位置する石田地区(旧石田村)で生まれ育った土方歳三の故郷の地。その土方家の菩提寺であり、また古来より関東三大不動の一つとして人々に親しまれているのが、この参道の奥にある高幡不動尊金剛寺である。
七夕の飾りつけをされた
高幡不動尊参道入口
参道脇の商店
信号を渡り総門に着いたら、まずは右手の仁王門をくぐって境内へと入ろう。一目で歴史の古さを感じるこのどっしりとした重厚な門は室町時代の造立で、昭和34年に復元修理された国の重要文化財。この寺院を物語る最初の扉として、楼上に掲げられた「高幡山」の古い扁額を仰ぎ見ると、色褪せた木の風合いが立派な楼門の下をくぐるのは、まるで古文書を開くような厳かな気分だ。
高幡不動尊金剛寺
住所 東京都日野市高幡733
電話 042-591-0032
多摩八十八ヶ所霊場 第八十八番札所
関東三十六不動霊場 第九番札所
武相不動霊場 第二十八番札所
東国花の寺百ヶ寺霊場 第八番札所
日野七福神 弁財天
 
仁王門   門の下には2体の仁王像が立つ
 
仁王門を入ると、境内は香炉の煙と香りが漂い、どこからか僧侶の読経の声が聞こえてくる。恐らく正面の不動堂で護摩修行が行われているに違いない。こうして厄除け祈願の参詣者が絶えないのも、関東屈指の古刹として広く知られ、また人々に親しまれてきた長い歴史があるからであろう。
高幡不動尊金剛寺は、弘法大師空海を宗祖とする真言宗の寺で、正式名は「真言宗智山派別格本山 高幡山明王院金剛寺」。創建は大宝年間(701年)以前、または奈良時代の行基菩薩の開基とも伝えられている。正面の不動堂は、平安時代初期に慈覚大師円仁が清和天皇の勅願により東関鎮護の霊場として山中に建立し、不動明王を安置したが、建武2年(1335年)の暴風雨で倒壊したため、住僧儀海上人が康永元年(1342年)に現在の位置へ移築した。不動堂は東京都最古の文化財建造物として、国の重要文化財に指定されている。
香炉の前に建つ不動堂。
左手に五重塔がそびえる
 
この不動堂に鎮座する不動明王像は、平成12年〜14年の間、当山の丈六不動明王像が1000年ぶりの修復作業で不在となったため、身代わり本尊として造立された新丈六不動明王像である。本尊の丈六不動明王像は、不動堂の裏手に建つ奥殿の中に安置されているという。
早速、奥殿の方に回ってみると、不動堂の賑やかさとは違い堂内はとても静かだった。向拝から眺める丈六不動明王像は、朱塗りの柱や梁が灯りによって照らされ、ぼうっと燃え上がっているように見える。不動明王像の巨像は像高285.8cm、火炎光背419.8cmの木彫り漆塗りで、両脇に立つユーモラスな姿態の「こんがら童子像」と「せいたか童子像」を併せると、不動三尊の総重量は1100キロを超える。三体ともそれぞれ檜、朴、橡と材質が異なるが、平安時代の造立。関東武士勃興期の時風を伝える豪快な作風が見事な国の重要文化財である。
奥殿
奥殿寺宝展拝観料 300円
入館日時 9時〜16時、月曜休館
 
本尊の丈六不動三尊像。三尊とも国の重要文化財。千葉県の成田山新勝寺、神奈川県の雨降山大山寺とともに関東三大不動の一つ
 
また、奥殿には数多くの文化財や寺宝が収蔵・展示されている。関東地方最古といわれる鰐口や日本最古の歓喜天像、古い仏像や絵画のほか、新選組関連の資料もある。また前回の修復作業時に不動明王の火炎光背上部から発見された、一粒の舎利を拝観できるのも興味深い。入館すると不動三尊の膝元まで進むことができ、目前で拝観する不動三尊像は圧巻。


[写真右] 奥殿の隣に建つ上杉憲顕の墳。上杉憲顕は享徳4年(1455年)、足利成氏の軍と立川河原で戦った際に深手を負い、金剛寺境内に入り自刃した。
 
[写真左] 山門
[写真右下・中央] 大日堂
ちょうど6月の下旬に訪れたこの日は、金剛寺の境内は色とりどりのあじさいの花に包まれていた。一段と華やかとなった石段を上り、「十善ノ花開ク處」の扁額が掛かる山門をくぐると、高幡山総本堂の大日堂が現れた。
 
大日堂は、平安時代の大日如来像や諸佛が安置されており、鳴り龍天井があることでも有名。御堂は江戸時代に大火で焼失し、長く仮本堂の状態であったが、昭和62年に根本改修工事が完了し、鎌倉時代様式の堂に復元された。
  堂内に入り、絨毯敷きの廊下を進むと、中央部に黒光りする板の間がある。その板の間の正面には大日如来像が鎮座しており、天井には墨で描かれたような大きな龍の絵がうっすらと浮き上がっている。板の間の中心に立って手を打てば、「ブォーン」という板を震わすような不思議な音が返ってくる。この龍の鳴き声を何度か聞いた後、ぼうっとまばゆい光の中に浮かぶ大日如来像を参拝すると、遠い平安時代から流れてくる信仰の風景がにじむように見えてくる気がする。
  堂内奥には、金剛寺を菩提寺とする土方歳三をはじめ、近藤勇、沖田総司、井上源三郎ら新選組関係者の位牌も納められている。
大日堂
大日堂
拝観料
200円
入館日時 9時〜16時、月曜休館
 
大日堂の周辺には、稲荷社や大師堂、鐘楼、大観音像など、沢山の建造物や像が建ち並んでいる。
お鼻井戸。建武2年の暴風雨の際、山中にあった不動堂が倒れて不動明王像が転げ落ち、その鼻をついた所から湧き出したと伝えられる湧水
大日堂脇に建つ敏郎句碑。
「紫陽花も山紫陽花も法の山」
   
 
鐘楼 平成2年建立の大観音像 稲荷社
 
弘法大師像
平安時代初期の様式を模した美しい五重塔。塔高39.8m、総高45m、和様、三手先出組、 青銅瓦葺
大師堂。昭和9年再興。多摩八十八ヶ所霊場、 第八十八番札所
 
  弁天堂と弁天池
 
また、弁天池周辺には、土方歳三像や新選組両雄の碑が建ち、新選組における両者の事績を称えている。
 
[写真左] 土方歳三像。平成7年に建立

[写真右] 新選組両雄の碑。篆額は松平容保、撰文は大槻磐渓、書は松本順(良順)によるもの。明治9年(1876年)完成、明治21年(1888年)建立。市指定史跡。

 

 
 不動ヶ丘   あじさいの花に彩られた巡拝路から中世の城跡へ
境内の南側には不動ヶ丘が広がり、椿や桜、楓など四季折々の花木に包まれている。特にあじさいが咲く丘としては有名で、あじさい祭りのシーズンには毎年多くの参拝客で賑わう。この日も梅雨の晴れ間に見頃を迎えたあじさいの花を観賞しようと、沢山の人々が不動ヶ丘を訪れていた。
弁天池と五重塔の間の入口を入り、四季の道から山内八十八ヶ所巡拝路を巡る。ちょうど見頃の時期とあって、山の斜面には色とりどりのあじさいが花開き、鞠のような可愛らしい花の群が小路を華やかに彩っていた。この裏山にはあじさい、山あじさい、がくあじさいなど、自生種や全国から集められた品種を含め約7500株ものあじさいが植生している。中には珍しい品種もあり、思わず立ち止まって写真に収めるのも楽しい。山内八十八ヶ所巡拝路には弘法大師の石像が祀られており、あじさいを愛でながら巡礼することができる。


[写真右] 不動ヶ丘入口に建つ芭蕉句碑。
「名月にふもとの霧や田のくもり」
 
四季の道  
 
山内八十八ヶ所巡拝路
 
  あじさいの花   珍しい品種「花火」
がくあじさいの花
 
不動ヶ丘の山頂には、中世の城郭であった高幡城の跡もある。高幡城はいつ誰によって築かれたのか明らかになっていないが、頂上の広場は本丸跡と伝えられており、山の西側には馬場跡も残されている。
高幡城址の石段 高幡城本丸跡 馬場跡
 
高幡城址から山内第76番の前の道を北へ向かえば、鐘楼へと辿り着く。そこから境内に入り、最後の霊場第88番「大師堂」に着いたところで山内八十八ヶ所巡拝路のコースは終了。今回のウォーキングもここが終点となる。あじさいの花は大師堂付近や弁天池の周辺にも植えられているので、花を辿りながら境内の出口へと向かおう。

ここでもまだ元気が余っている人は、高幡不動駅に戻り、駅北側に広がる高幡・万願寺・石田方面のウォーキングコースへと足を延ばしてみてはいかが。高幡不動尊金剛寺と合わせて土方歳三の故郷である石田地区を巡れば、新選組の歴史探訪も楽しめるだろう。
 
 
【取材後記】   〜高幡不動尊近隣の〜クウ・ネル・アソブ〜

今回、高幡不動尊金剛寺には、取材とプライベートで何度か訪れた。早朝、僧侶たちが人のいない静かな境内を掃除する風景や、長雨に濡れてしっとりと佇む仁王門、またカラッと晴れた青空に浮かび上がる色鮮やかな五重塔など、寺院はいつ訪れても絵になる風景が満載だった。加えて、あじさいの花の見事なこと!山の斜面を覆うなだれ咲きという状態を初めて目にして感動した。それにしても、この寺院が菩提寺だという土方歳三は、ここでどんな幼少期を過ごしていたのだろうか。土方家に伝わる話では、歳三は街道に面した仁王門によじ登り、鳥の巣の中の卵を取っては道行く人に投げつけていたという。少々えげつない遊びに興じていたようだが、その後の歳三を彷彿とさせるようなやんちゃなエピソードである。

さて、ウォーキングの途中に楽しむ今回のクウ・ネル・アソブ。オススメするクウ・スポットは、高幡不動尊前に建つ松盛堂本店。ここで饅頭を買うと、店の休憩所でセルフサービスのお茶とともにホカホカの饅頭が食べられる。また、あじさいを見た後なら隣の開運堂のあじさいソフトもオススメ。せんべい屋だけにソフトクリームにせんべいが突き刺さって出てくるのがなんともオツである。ちょっと休憩したい時のネル・スポットは、五重塔の地下にある無料休憩所が夏でも涼しく、屋外なら不動ヶ丘の馬場跡が広々として気持ちいい。アソブ・スポットはモノレールで行ける多摩動物公園や、さらにその先の多摩テックへ。天然温泉施設クアガーデンで汗を流してから家路に着くのもいいだろう。


取材担当:美月春菜
 
 
 
 
 

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