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タチオンWalking(多摩武蔵野ウォーキング情報)
 
羽村市
HAMURA
           
 
はむら・たまがわじょうすい 
多摩・武蔵野には、数々の桜の名所があります。都心では味わえないような、開放感やスローな時間を楽しむことができるのが、多摩・武蔵野のいいトコロ。なかでも、古くからこの地方に住む人々の暮らしを支えてきた多摩川と玉川上水の分岐点にあたる羽村取水堰周辺は、毎年多くの人が訪れる人気のお花見スポットです。今回は、羽村取水堰・玉川上水周辺をご紹介します。
 
 
全長
約5キロ
所要時間
約2時間00分
Access :電車
JR青梅線「羽村駅」下車
Access : 車
【立川方面から】
奥多摩街道を青梅・奥多摩方面へ約30分
【青梅方面から】
奥多摩街道を立川方面へ約30分
おすすめシーズン
4月上旬は桜が美しい
 
 
 
1 JR羽村駅
 ↓
徒歩3分
2 まいまいず井戸(熊野神社)
 ↓
徒歩10分
3 中里介山墓地(禅林寺)
 ↓

徒歩10分

4 羽村取水堰
 ↓
徒歩5分
5 玉川上水
 ↓
徒歩30分
6 JR福生駅
 
 
 

 JR羽村駅 --- まいまいず井戸(熊野神社)   羽村駅前にグルグル渦巻き!ここは人工アリ地獄

 
JR羽村駅に到着したら、まずは東口に降りよう。駅前ロータリーの一角には、大型スーパーの西友があり、その向かい側に熊野神社があり、境内に「まいまいず井戸」という、不思議な形の井戸がある。

井戸というと、一般的にイメージされるのは、地面を垂直に掘り下げたタイプのもの。このタイプの井戸は、誰でも、寺社や古い民家などで見かけたことがあるだろう。では、「渦巻き型」の井戸はどうだろう?「まいまいず井戸」は、この渦巻きタイプの井戸なのだ。カタツムリに形が似ていることから、多摩地方でのカタツムリの方言「まいまいず」をとって、こう呼ばれるようになったそうだ。ところで、この「まいまいず井戸」。どうしてこんな変わった形をしているのだろうか?その理由は、この地域の地層に隠されている。羽村の地層は、垂直に掘り下げることが難しい砂礫層で、井戸掘り技術が未発達だった時代(まいまいず井戸ができたのは、鎌倉時代頃ではないかと推測されている)には、このように渦巻き状に井戸を掘るのが、最も安全で確実な方法だったのだ。

なんとこのまいまいず井戸、1960年に町営水道が整備されるまで現役だったという。五の神村(羽村駅周辺)には、ここにしか井戸がなかったというから、当時は、このらせん状のスロープに、村人たちが行列をなしていたことだろう。井戸までは、歩いて下りることができるので、ぜひ下りてみよう。グルグルと回っているうちに、フワフワとした不思議な感覚を味わえるはずだ。

まいまいず井戸(熊野神社)
住所 東京都羽村市五の神1-1
 

 中里介山墓地(禅林寺)    世界最長の小説は、羽村から生まれた!

 

新奥多摩街道を越えると禅林寺がある。ここには、未完に終わった世界最長の小説「大菩薩峠」の作者・中里介山(なかざとかいざん)が眠っている。介山は、1885年に羽村市の農家に生まれ、1913年に都新聞で「大菩薩峠」の連載を開始。1944年に、大作の完結を果たせぬまま60歳で亡くなった。墓地は本堂の裏の小道を上った高台にある。台座に積まれた石は、わざわざ大菩薩峠から運んできたものだというから、こだわり方がすごい。ちなみに大菩薩峠へは、奥多摩街道・青梅街道を使って車で2時間ほどなので、介山ゆかりの地をめぐるドライブを計画しても面白そうだ。

「禅林寺」という名のお寺は、同じ多摩・武蔵野地域の三鷹市にもある。ここには森鴎外や太宰治が眠っている。場所は違っても、文豪が同じ名前のお寺に眠っている。何か、大作家をひきつける因縁があるのだろうか。

なお、羽村市の禅林寺には、「豊饒の碑(天明義挙記念碑)」も建っている。天明の大飢饉の際に、羽村周辺の名主たちが、困窮する農民たちの生活を守るために、食料を買い占めていた富商を襲った一揆を、正義の行動だと賞賛して建てた物だ。

 

中里介山墓地(禅林寺)

住所 東京都羽村市羽東3-16
 
 羽村取水堰--玉川上水--JR福生駅   多摩川と玉川上水の競演。あなたもきっと「水の都」と呼びたくなる!
 

禅林寺を出て奥多摩街道を渡ると、いよいよ今回の主役、多摩川と玉川上水の分岐点・羽村取水堰に到着。多摩・武蔵野はもちろん、東京に住む人で多摩川と玉川上水という2つの川の名を聞いたことがないという人はほとんどいないだろう。知名度と存在感は大きい、この2つの川だが、多摩・武蔵野に暮らす人々とはどのように関わっているのだろう。

多摩川は、山梨県塩山市・小菅村・丹波山村方面から奥多摩湖を経由して、多摩を通過し、神奈川県川崎市から東京湾へと注ぐ全長138kmの川。この長さは、国内の一級河川の中でも25位に入るほどの大きな川だ。流域には420万人以上が暮らしている。この多摩川、かつては氾濫を繰り返す暴れ川だった。新選組副長として有名な土方歳三の生家(現・日野市)も、1846年の氾濫で一部が流されてしまい、転居を余儀なくされたというエピソードがある。現在でこそ、道路や鉄道・モノレールなどが橋上を渡るこの橋も、かつては橋を掛けることさえできない激流だったのだ。

そんな多摩川に堰を設けて、江戸に住む人々の生活用水として活用しようという計画が実行されたのは、徳川家康が幕府を開いて50年後の1653年。関東の片田舎だった江戸の地だが、幕府が開かれたことで大都市に変貌。その結果、江戸の市民たちは慢性的な水不足に悩まされていた。幕府から命を受けた多摩川庄右衛門、清右衛門兄弟が、羽村から四谷大木戸(新宿区/新宿御苑付近)までの約43キロにも及ぶ生活用水路・玉川上水を完成させた。

玉川兄弟については、東京の小学校では社会科の授業でも習うので知っている人も多いと思うが、こんな疑問を抱いていた人も多いのではないだろうか。「玉川兄弟って、もともと玉川姓を名乗っていたの?玉川兄弟が多摩川に堰を造って、玉川上水を完成させたなんて、出来過ぎた話じゃない?」。ご存知のとおり、江戸時代に苗字を名乗ることを許されたのは武士階級だけ。玉川兄弟も、もともとは江戸の町人だったとも、多摩川沿いに住む農民だったとも伝えられているが、少なくとも武士ではなかった。「玉川姓」を名乗るようになったのは、玉川上水の工事が完成した後。幕府から、褒美として苗字帯刀を許されたのだ。つまり、工事の功を認められて武士になったということ。新選組が幕末の動乱の中、武をもって武士に昇り詰めたのに対して、彼らは文をもって武士になったのだ。

ところでこの玉川上水。現在では散歩コースとして人気があるが、生活用水路としての役目は終えてしまったのだろうか?さすがに江戸初期に作られた用水路では、現代社会には通用しないか?答えはNo。今でもしっかりと、流域に住む人々の生活を支えている。玉川上水の水は、山口貯水池(狭山湖)、村山貯水池(多摩湖)、小作浄水場、東村山浄水場に送られているという。玉川兄弟の開削工事から350年以上経った今でも、玉川上水は私たちの生活を支えてくれているのだ。

玉川上水の流れに沿って桜並木が続く。お花見シーズンには桜まつりが開かれ、多くの人々で賑わう。すぐ頭の上辺りの高さに桜の木が伸びているので、間近に見る桜の花に、大きな感動を味わえる。そのまま流れに沿って下っていくと、羽村市から福生市に。桜の季節にここを訪れると、もう1つの感動を味わうことが出来るのだ。羽村市内はピンク一色に彩られていた桜並木が、福生市ではケヤキ並木に変わる。同じ玉川上水沿いとは思えないほど、今度はガラリと一面が緑色。もちろん、桜が散ってしまった後でも、桜の新緑との競演を楽しむことができる。春というと、つい桜の花にばかり目が行きがちだが、おいしそうな新緑の葉っぱにも、ぜひ目を向けてみて欲しい!

玉川上水は、多摩川と寄りつ離れつしながら、このまま福生の多摩川中央公園方面に続いているので、2箇所のお花見スポットを楽しむもよし、途中で左へ折れてJR福生駅へ向かうもよし。のんびりとした時間をお楽しみあれ!。

羽村取水堰〜玉川上水
住所 東京都羽村市玉川1-1
関連リンク 多摩のお花見・桜情報
【取材後記】   こぐまのウォーキング日記
玉川上水に咲く桜
水辺が好きだ。私が住んでいる東村山にも、玉川上水の支流である野火止用水や、一級河川の空堀川、映画「となりのトトロ」の舞台ともなった八国山付近を流れる北川など、住民たちに散歩コースとして親しまれている川が流れている。特に空堀川は、自宅から徒歩30秒という近さなので、晴れた休日には散歩に出かける愛着のある川だ。
多摩・武蔵野の川の王様・多摩川と、その弟分の玉川上水の分岐点、羽村取水堰は一度は訪れてみたかった。今年は桜の開花時期が予測しにくかったため、2週に渡る取材となってしまったが、おかげで2回も素晴らしい眺めを見ることができた。多摩川・玉川上水の清流を讃えて、羽村を多摩版「水の都」と名付けたい。
                           
取材担当:こぐま
 
 
 
 

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