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多摩武蔵野ウォーキング
 
八王子市
 HACHIOJI 
              歴史
 
小仏・旧甲州街道
こぼとけ・きゅうこうしゅうかいどう 
歴史と自然と梅の里。江戸時代から続く旧街道ウォーキング

東京・日本橋から多摩地区を通り、下諏訪までを結ぶ甲州街道は、江戸時代、天下の五街道の一つとして幕府により整備された。江戸の主要街道であった当時の甲州街道は、「甲州道中」と呼ばれ、その古い街道の一部が、今も八王子市高尾の西端に残されている。数々の歴史と自然豊かな風景が詰まった旧街道は、現在では高尾登山ルートの入口として、また高尾梅郷などの梅の里としても知られている。街道脇には小仏川(南浅川上流)の清流が流れ、そして小仏峠へと続く山々の風景は季節を通して美しい。今回は、この高尾から小仏へと辿る古き街道筋をご紹介する。東京らしからぬ意外な風景と、歴史ある道中の原風景にも出会えそうなノスタルジー満載のウォーキングコースだ。

 
 
全長
約5.5キロ 屋根の付いた湧き水
所要時間
約2時間
Access :電車
JR中央本線、または京王高尾線で「高尾駅」下車
Access : 車
八王子から甲州街道を相模湖方面へ約20分
おすすめ
シーズン
特に春先の梅の開花時期が美しいシーズン
 
 
 
1 高尾駅北口
 ↓
徒歩8分
2 小名路
 ↓
徒歩8分
3 小仏の関跡
 ↓
徒歩13分
4 蛇滝口・ 高尾梅郷 遊歩道入口
 ↓
徒歩13分
5 摺指
 ↓
徒歩33分
6 小仏
 ↓
徒歩5分
7 宝珠寺
 
 
 

 旧甲州街道      数々の歴史の足音が響く江戸時代からの旧街道

 

高尾駅北口を出ると、駅前の坂下に甲州街道(国道20号)が通っている。ここを左に入り、車道に沿ってしばらく歩くと、中央線のガードの向こうに「小名路」という地名の三叉路が出てくる。この三叉路を起点として、右方向へと入っていく516号線の静かな細道が、かつて江戸幕府の主要街道として使われていた甲州道中の旧道、つまり旧甲州街道である。早速ここから516号線へと入り、旧街道を歩いてみよう。
JR高尾駅北口
JR高尾駅北口
旧甲州街道入口
旧甲州街道入口
旧街道脇に建つ石碑群
旧街道脇に建つ石碑群
車通りの多い国道20号を離れ、旧街道へと入ると、辺りはがらりと閑静な住宅街の景色となり、正面には西に広がる山岳地帯の山々の風景が見えてくる。道幅は狭く、一見、何の変哲もない住宅街の生活道路に見えるが、ここが本街道であった江戸時代の時分には、あらゆる人々が行き交い、歴史とのつながりも深い道であった。この街道を参勤交代の大名行列が練り歩き、幕府へのお茶壺道中や民間の富士参詣が通行し、また幕末期には横浜開港に伴い、八王子「絹の道」経路で横浜へと運ばれる甲州生糸の重要な輸送路として人馬が行き交った。新撰組の近藤勇は甲陽鎮撫隊を率いてこの道を一路甲州へと赴き、一方、板垣退助率いる官軍の隊列が江戸に向かって足を踏み鳴らした道でもある。

歴史を紐解けば、重要な出来事が次々と出てくる貴重な道だが、今ではひっそりと静まりかえった東京西端の山あいの旧道。現代の家並みと右手に平行して走る中央高速の冷たいコンクリート橋梁が時代の変遷を感じさせるが、ここにはまだまだ当時の街道の雰囲気を伝える場所が至る所に残されているようだ。


 
 小仏の関跡    江戸防衛を目的とした首都西端の関所跡地
 

小名路からしばらく歩くと、駒木野バス停の右手に石碑の建つ小さな公園が見えてくる。ここは、江戸時代、東海道の箱根、中山道の碓氷と並んで「関東の三関」の一つとされた甲州道中「小仏の関」の関所跡である。この関所は、もともとはさらに西に位置する小仏峠の頂上にあったそうだが、後にこの駒木野の土地に移され、江戸の防衛のため、首都の出入門として人々の通行を厳しく取り締まったという。特に「入り鉄砲に出女」は最も警戒され、江戸への武器の持ち込みと、人質として江戸住まいさせている諸大名の妻妾たちの脱出を厳しく監視したそうで、関所破りははりつけの極刑に処されるほど、厳重な取り締まりが行われていた。
小仏の関跡
小仏の関跡
住所 東京都八王子市裏高尾町420−1
石碑の前に置かれた自然石は、奥が手形石で手前が手付石。
 
確かに辺りを見回すと、北は山に閉ざされ、南は小仏川に阻まれた天然の要害となっており、この関所を通らずして江戸に出入りするのは難しそうなのだが、記録によればこれほどの厳罰が用意されていながら関所破りは絶えなかったらしい。当時、博徒などの前科者は手形発給をされなかったため、江戸を離れるには山谷を逃亡するしかなかったとか。その関所の厳しさと通行手形の重要性を伝えるものが、今も石碑の前に残っている。地面に置かれた二つの自然石は、一つは手形を置く手形石で、もう一つは通行人が手を付き頭を下げるための手付石。これらを残して小仏の関は明治2年には廃止され、関所跡地は昭和3年に国指定史跡に指定された。
[写真:左]
石碑の前に置かれた自然石は、奥が手形石で手前が手付石。

[写真:右]
関所跡地に建つ駒木野宿の碑
関所跡地に建つ駒木野宿の碑
 
 蛇滝口・高尾梅郷遊歩道   高尾参詣入口の村は水の美味しい梅の里。
 
 
蛇滝口の集落
蛇滝口の集落
 
小仏川
小仏川
 
街道脇の湧き水
街道脇の湧き水
 
  小仏の関を過ぎ、右手に中央高速の橋梁が見えてくる辺りで、かわいらしい小学校の校舎が街道脇に現れる。あまりに小さい校舎と狭い公園のような校庭があるだけなので、つい見過ごしてしまいそうだが、これが東京の学校でしかも分校かと思うと、非常に珍しく一驚する風景だった。
  そこから数分のところで、蛇滝口という集落に入る。この辺りから小仏川の静かな流れが街道の左側に並行するが、その澄んだ清流と同じように、美味しい名水が湧き出ている場所が路上にもある。屋根の付いた湧き水で、石桶の中に途切れなく清らかな水が注いでいる。少し飲んでみると、冷たくて澄み切っていてとても美味しい。近所の人もペットボトルを持ってきて、この水を持ち帰っていた。また、この湧き水の隣には、古い旅籠のような木造の建物が建っている。ここは修験者の宿泊所らしく、はね板といわれる講中の名が書かれた木札が棟下にずらりと掲げられている。今は利用されておらず、ひっそりとしているが、ここには川と豊富な湧き水もあり、多くの高尾山参りの講の人々が集まった以前の光景も想像することできた。
  蛇滝口はこうした高尾山参りの人々が拠点とする集落であり、高尾山へはここから少し歩いた先に左へと折れる蛇滝方面に向かう道が登山口となる。蛇滝の集落から3時間ほどで登れるファミリー向きの登山コースなので、ケーブルカーを使わずに高尾登山したい人はこのルートから挑戦してみるのもいいだろう。また、この登山口へ向かう道の入口付近には、高尾梅郷遊歩道への入口もある。春先の梅の開花時には、この旧甲州街道から高尾梅郷を訪れるルートもおススメである。

屋根の付いた湧き水
屋根の付いた湧き水
と修験者の宿泊所
 
棟下に並ぶはね板
棟下に並ぶはね板
 
高尾梅郷遊歩道の入口
高尾梅郷遊歩道の入口
 
 摺指      東京に現存するノスタルジックな山里の風景。
 
旧街道の脇を通る中央高速
旧街道の脇を通る中央高速
 
農家の無人の野菜販売
農家の無人の野菜販売
 
摺指の峰尾豆腐店
摺指の峰尾豆腐店
   
街道は、いよいよ摺指(するさし)の集落へと入り、辺りも一段と鄙びた風景が目に付くようになってくる。昔ながらの農家の家の前には、採れたての野菜が無人売り場に並び、ある家の縁側には老人たちが集まってお茶をすすり、またある家の縁側では老婆が日向ぼっこをしながら縫い物をしていた。街道の幅も狭まり、ここが昔から山間の集落であったことが感じ取れるような寂れた雰囲気が漂うが、この集落には土地柄か昔から新規の移住者が少なく、江戸時代の共同体がそのまま現代に続いており、住民のほとんどが峰尾(峯尾)姓であることが特徴として挙げられるのは非常に興味深い。

  静かな街道には、車の通行も人の姿もほとんどなく、小仏川のせせらぎの音だけが響いている。そのまま街道を進むと、日影バス停を過ぎた辺りで道は左へと大きく曲がり、景色はいよいよ山深くなっていく。左手に流れる小仏川もだんだん細い小川となっていき、中央線の古いレンガ造りの高架橋をくぐると、さらに道は細くなって民家も少なくなっていく。右手に変電所が出てきたら、その隣が小仏の終点バス停。ここまで来ると、街道脇には民家もなくなり、道はさらに狭まって峠道らしくなってくる。
レンガ造りの高架橋
レンガ造りの高架橋
 
旧街道の鄙びた風景
旧街道の鄙びた風景
 
 小仏・宝珠寺   都天然記念物の巨木と小仏川上流に安らぐ山寺
 

小仏バス停から少しだけ街道を進み、宝珠寺まで行ってみることにした。宝珠寺は、小仏峠の山裾にあり、15世紀の開基と伝わる臨済宗南禅寺派の寺で、断食道場としても知られている。本堂へ登る石段左手の斜面地には、都天然記念物のカゴノキの巨木が生え、ダイナミックに枝葉を広げていた。本堂はこぢんまりとした山寺らしい質素な風情だが、寺の脇を流れる小仏川(南浅川)上流の美しい小川のせせらぎが爽やかにこだまし、自然豊かで心安らぐ寺である。


小仏山宝珠寺
小仏山宝珠寺
住所 東京都八王子市裏高尾町
1785番地
都天然記念物のカゴノキ
都天然記念物のカゴノキ

この宝珠寺まで来たら、今回のウォーキングコースはもう終点。折り返して小仏バス停まで戻り、バスで高尾駅まで戻るか、またはもと来た道を歩いて戻ろう。春先なら途中から高尾梅郷遊歩道を通って高尾方面へ戻ってみるのも楽しいルートだ。帰り道に農家の庭先で野菜を買えば、高尾土産にもなるだろう。

【取材後記】   小仏・旧甲州街道近隣の〜クウ・ネル・アソブ〜
峰尾豆腐店
 

今回のウォーキングは八王子の高尾。地元ということもあり天気の良い日にふらっと出掛けてみたのだが、12月半ばの取材は、やはり山間の街道を歩くにはちょっと寒かった。しかし、旧街道筋は山や小川の景色が続く贅沢なコースで、花や紅葉を見られずともなかなか味わいのある道だった。東京にもこんな鄙びた風景が残っているかと思うと、なんだか嬉しくなってくる。実は、都会育ちで田舎を持たない私は、子供の頃からこういう田舎に憧れていたのだ。こんな近場に理想の田舎があったとは!思わず私は復路もこのコースを歩いて戻り、次回はきっと梅の開花時期に来てみよう、と心に決めた。

さて、そんな小仏・旧甲州街道からご紹介する今回のクウ・ネル・アソブは、やはり高尾の自然がメイン。クウは何といっても裏高尾の名水で作る「するさしの豆腐」で有名な「峰尾豆腐店」の自家製「おからドーナツ」。ここはお豆腐の美味しい店だが、自家製ドーナツもふっくらとして甘さ控えめで美味しい。5個入りで食べ応えもあるので、ぜひぜひご賞味あれ。またネルのスポットは、今回のコースでは川辺や梅林の中に探せばありそうなのだが、残念ながらここぞという所が見つからなかった。途中休みたい人は、峰尾豆腐店の駐車場脇のベンチか、宝珠寺本堂脇に並ぶベンチでどうぞ。そして、アソブのスポットはやはり近場の高尾山へ。レジャーも食事も楽しみたい人はぜひ高尾山へと足を運んでみよう!

取材担当:美月春菜
 
 
 
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