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記憶のBGM  written by Takumi Uesawa 

夏休みの朝。まだ夜が明けきらぬというのに、目が覚めてしまうことがあった。
寝静まっている家族を起こさないよう、雨戸をそっと開けて外を見るのが好きだった。ひんやりと湿気を帯びた空気を大きく吸い込んで、オレンジ色とコバルトブルーの空の間をぼんやり眺めていた。

どこからともなく聞こえてくる「ホーホーホッホー、ホーホーホッホー」という声が神秘的に聞こえて、ぴったりだと思っていた。 

さて、このホーホー・・の正体が、なんと「ハト」であることを知ったのは、 大人になってから。ハトには失礼だが、自分の朝もやに包まれた幻想的風景が随分庶民的な感じになってしまったような気がした。

昔は今より、「鳥たち」の存在を意識して生活していたように思う。頬を赤く染めたヒヨドリが一本杉に集結し、やかましくて、耳を押さえたこと。毎春、我が家の軒下にツバメが巣を作るのを見守ったこと。ヒナがお腹をすかせて騒ぐので、ノンキな親ツバメを一緒に待ってあげたっけ。

その中でも、特に印象深い鳥の記憶を少したどってみよう。

私は川育ち。なじみ深く、驚きの目を持って見つめていたのはトンビだ。トンビというと、写真のように「ピーヒョロロロロー」と澄んだ鳴き声を響かせて、大空を旋廻する姿を思い出す方も多いと思う。

私といえば、トンビで思い出すのは、瞬間の光景だ。突然音もなく、高い空から鋭い角度で降りてきて、草むらの蛇を一撃でキャッチしたかと思うと、すぐさま大きい翼を広げて、大して羽ばたきもせず、ふんわりと、捕らえた蛇をくわえたまま、舞い上がっていく姿。ハング・パラグライディングさながら、なんとも重力に反する動きに見えて、よく目を丸くしたものだ。
ワシやタカなどの猛禽類にみられる、「地上で温められた熱が天に昇る風に身をまかせ、ほとんど翼を動かさず、舵取りしながら滑空している姿」は凛々しく、いずれにしても、地上から見上げると、まぶしい光景だ。

川で、といえば、白鷺(シラサギ)も忘れられない。純白の羽を水辺で休め、川魚を捕食している姿は、実に美しい。昔はよく見たものだが、最近はたまに見かける程度。昔、白鷺を見つけると、親までが、何か宝物のように「シラサギ!」と叫び、教えあったものだが、それは秋川周辺だけの有り難みだったのだろうか。

話が少々それるが、山野草で「白鷺草」というのがあり、その姿を見て、なんとぴったりなネーミングだと感心したことがある。白鷺のくねりとした首すじや、細身の背腹、繊細な羽形を彷彿とさせる。

最後にキジについて。キジはご存知の通り、日本の国鳥である。そんな立派な肩書きを知る前から、ずっと私にはなじみ深い鳥だ。なぜなら、育った家の裏の空き地に生息していたからだ。唐突に「ケーン」と一鳴きのが聞こえてくると、「まだいる、まだいる。」と安心したものだ。自然環境の劣化など、難しいことを考える年齢でもなかったが、どこかでキジが住みにくくなっているのを感じていたのだろう。なぜか、出くわすことはほとんどなかったのだが、その声ははっきりと日々、耳にしていたので、「一体どこにいるのだろう?」と不思議な気持ちになったものだ。

このキジ。本来一鳴きが多いが、急にけたたましく鳴くことがある。決まって、その直後、地震が起こる。私はそういうものだと思っており、近所の犬が鳴き、キジが鳴き、ああ、揺れた、という流れが普通だった。思いを同じくする方も結構いるのでは、と想像。

●ハト
ホーホーホッホー・・を聞いてみたい方はこちら。
ファイルの保存とRealPlayer(無償版)が必要です。 →ダウンロードサイト
 
●ヒヨドリ
●ツバメ
●白鷺(シラサギ)
●雉(キジ)

こう羅列してみると、どうやら、「鳥たち」は私の「記憶のBGM」としての役割も果たしているらしい。

毎日の暮らしの中で、鳥の鳴き声を聞くと、その鳴き声を耳にした時のかつての風景が、突然思い出されたりする。
そんな役割もあるようなので、つい透明な存在になりがちの「鳥」を、あえて意識する自分がいるのだった。

さて現在。私は立川の砂川に住んでいるが、ありがたいことに、キジの鳴き声をたまに耳にする。
どうやら、裏の栗林に住んでいるようだ。地震災害が起こることはあってはほしくないが、おそらく、私は、そんなとき、この砂川のキジのおかげで、ほんの少し早く、危機を察知することができそうだ。

 
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