多摩武蔵野の情報誌サイト タチカワオンライン − 日帰り温泉、美容室、グルメ、ショップ、美術館、酒蔵、ウォーキング、コラム
立川 八王子 多摩 町田 府中 調布 狛江 三鷹 武蔵野 小金井 国立 国分寺 青梅 あきる野 奥多摩 福生 その他エリア
シーズン情報 湯めぐり ウォーキング 美術館・博物館 ビューティー ショップ アウトドア プール 花火 イルミネーション イベント

その他のバックナンバー | 徒然(つれづれ)TOP |
*このコーナーは取材記者が多摩・武蔵野で感じたあんなこと、こんなことのリレーコラムです。
 
(ペンネーム:ふうが)
「多摩川サイクリングロードの思い出」 
    

京王線の鉄橋の下でおやつを食べて帰ってくる。
僕が小学生のころ近くの児童館で行われていたサイクリングイベントがこれだった。
そのころ僕は自転車を買ってもらったばかりで、ご自慢の愛車を乗り回すのが日課だった。走ることに夢中になりすぎて、気がついたら自分がどこにいるか分からなかったことも一度や二度ではない。迷ったすえに商店で道を尋ね、自宅まで商品運搬用の小型トラックで自転車ごと送り届けてもらったこともある。(今ではどこのどなたが助けてくれたのか覚えていませんが、その節は大変お世話になりました)
  そんな僕の行く末を案じてか、両親の勧めで参加することになったのが児童館で行われていたサイクリングイベント。引率の職員のかたが先導する後を、何台もの自転車が追走し、疾走する。いつも一人で自転車を乗り回していた僕にとっては新鮮な感覚だった。途中、僕らは多摩川にかかる多くの橋の下をくぐり抜けた。ひとつ橋を越すたびに何か大きなことをやり遂げた気がした。家からはどんどん離れていくというのに、また帰れなくなるんじゃないかと不安になることもなかった。サイクリングロードという絶対に切れることのない一本の糸が、いつも帰り道を示してくれていたからだろう。街中で走るときはいつも路面を見て走っていたのに、ここでは空を見上げたり遠くまで広がる景色を見渡しながら走ることができた。多摩川はいつも同じおだやかな様子で流れ、向こう岸には高い煙突や山々の稜線が見えた。街中で走るのとは違って、僕たちがどんなに懸命になってペダルを踏んでも、ここでは景色がゆっくりとしか進まなかった。
  コースはいつも一緒だったし、ペース配分も決まった場所で速くなったり遅くなったりするだけでまったく同じだった。普通なら二、三度参加したら飽きてしまいそうなところだが、僕自身は愛車を駆って遠出できるというだけで満足だったから、いつ参加しても代わり映えしないことなんて問題じゃなかった。だから参加者不足でイベント自体が無くなってしまうという憂き目に会うまで、回を重ねるごとに参加者が減っていたことにも気づかなかった。
  そんな僕にも、このサイクリングイベント中ひとつだけ嫌なことがあった。
それはサイクリングロードに向かう途中に大きな犬がいて、前を通るたびに吠え立てられたことだ。五メートル前に近づくまでは気づいていないようなふりをして寝そべっているくせに、僕らが射程範囲に近づいたとみるや突然立ち上がって走り出し、鎖がピンとはるところまで近づいて大きな声で吠える。その迫力たるや、小学生の僕にとっては肝試しの幽霊なみに恐ろしいものだった。
  逆になんといっても楽しかったのは、鉄橋の下で通り過ぎる電車を見送ることだ。重い電車が次第に近づいてくるときの全身を震わす振動や音、ついに頭上を通過するときの桁外れの騒音に耳を塞いだことなどを今でもはっきり思い出すことができる。

 時は流れた。僕が絵本に読みふけり、ブロックやトランポリンに興じた児童館も、今ではシルバー人材センターの資材置場となった。多摩川のサイクリングロードも今では拝島から羽田空港までつながっているらしい。自動車以上に駐輪場所に困ることがあるので自転車に乗ること自体めっきり少なくなっている僕だが、ひさしぶりに思いっきりサイクリングを楽しみたくなってきた。

 
  

タチカワオンラインでは「徒然(つれづれ)」コーナーでコラムを書いていただける方を募集しています。多摩・武蔵野であなたが感じたいろんな事を教えて下さい。詳細はこちら


その他のバックナンバー | 徒然(つれづれ)TOP |
 
 
新規ホームページ制作・リニューアル・SEOをお考えの方はこちらをご覧下さい
 
Copyright (C) Tachikawa Online. All Rights Reserved.