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『産業廃棄物中間処理工場』〜〜大空グループ〜〜

 

 東京の街並みの変化は世界一と言っても過言ではない程、日々建物が解体され新しい風景が生み出されている。多摩地域もその例外ではなく、立川の駅前などは10年前の街並みがどうだったか思い出すのも難しい程、街が変わっている。僕自身も風景を変えていく仕事に携わっているが、新しく造ることには細心の注意を払いながらも、以前建っていた建物に関しては確実に「更地」にするという事以外はあまり気にしてなかった。現場で解体された、建築廃材は何処に行きどのように処理されるのだろうか?

  一昔前の土と木と石の自然素材だけで建てられた建物は、解体時に部材を取り出しリサイクルされていた。当時は「リサイクル」などといった言葉もなく、壊した建物から使える部材を選び出し適材適所に新しい建物の中で使っていた。戦前までの建物には、梁等の構造材に必要もない穴が沢山開いている部材をよく見かける。明らかに現在建っている建物には関係のない穴だが、大工が刻み間違えたとは言い難く、おそらく転用材だと思われる。塗壁に使う仕上げ材も、生が抜けてボロボロ落ちてくる段階になると、上塗りだけ落として集め、再び塗壁材として使っていたという。
  手間(人件費)が今のように高くなかった時代はそのような材料の再利用が普通に行われていた。高度経済成長と共に「造る事」と「壊す事」はいつしか切り離され、「壊す事」=「ゴミ」という構図が出来上がっていったような気がする。もったいないと思っても解体する建物から部材を一つ一つ抽出する作業は非常に手間がかかり、再利用する方が新しい材料を購入する事よりも余計に費用が掛かってしまうのだ。

  そのような中で、「造る事」と「壊す事」を再び繋ぎ合わせる動きが出てきた。今回は建物ではなく、新しい建物を造る前段階の、解体にスポットを当てみたいと思う。武蔵村山に本社のある「大空グループ」の中間処理工場を見学してきた。


 

木くず処理プラント

木くず処理プラント

 

処理を待っている木材達
処理を待っている木材達

 

木材として分別されたはずの廃棄物の中に……
木材として分別されたはずの廃棄物の中に……

 

再生された木材チップ
再生された木材チップ


混合廃棄物処理プラント

混合廃棄物処理プラント

 


がれき類処理プラント

がれき類処理プラント


工場の空に大きな虹が架かった
工場の空に大きな虹が架かった

 青梅線小作の駅で待ち合わせて、中間処理工場へ。見学の前に大空グループの安田常務に建築廃棄物のレクチャーを受けた。今まで解体された残材の行方に対して無知だった僕は、目から鱗が出る話ばかりだった。ちょっと話が逸れるが、プラスターボードの話を皆さんにもお伝えしたい。
 
  プラスターボード(石膏ボード)は現在の建物の壁や天井の下地材として、ビルや住宅を問わず使われている素材で、皆さんの住宅にも間違いなく使われている材料だ。これが建築廃棄物としては非常に厄介な素材ということである。安価な再生材で耐火性に優れ、下地材として広く使われていたが、廃棄され水に濡れると硫化水素が発生する恐れがあるとのことで、平成18年に管理型の廃棄物にすべきとの通知が環境省から出ていたのだ(環廃産発第060601001号)。
  建物の下地として使われている状態では水に濡れることはまずないので問題ないが、廃棄後に管理が必要な素材となると考え方が変わってくる。安価な素材だからということで使うと解体時に管理型処分費用を払わないと廃棄できなくなる方向にある。
  アスベストだけでなくプラスターボードまでも……。安価で扱いやすい新建材は時として落とし穴に出くわすこともあるようだ。造ることに幾ら費用が掛かるのかだけなく、壊すまでのことまでを考えた (トータルライフサイクルコスト) 設計が必要だと痛感した。


 
今回見学したのは青梅にある多摩中間処理工場と所沢にある埼玉中間処理工場だ。多摩工場では混合廃棄物処理プラント、埼玉工場では混合廃棄物処理プラント、がれき類処理プラント、木くず処理プラントと3つのプラントで中間処理が行われていた。「中間処理工場」とは現場から出た廃棄物の中からリサイクル可能な材料を仕分け抽出する場所のことで、最終処分場に搬入される前の大切な作業が行われている。廃棄物処理の基礎知識をレクチャーしてもらった後、小雨の降るあいにくの天気だったが、長靴とカッパを着せてもらい完全防備で広大な処理工場の中に入った。

【木くず処理プラント】
  ベルトコンベヤーに乗っているのは粉砕された木材。「ゴーッ〜」とすさまじい勢いで木片が流れていく。建築廃材には釘や金物等の異物が必ず混入しているので、木材を粉砕しながら特種な金属探知器で異物を取り除く工程が何工程も連なる。このプラントを見ると、中間処理施設が「工場」と呼ばれる所以に納得がいく。単に木材を粉砕するだけでなく品質の管理がされて、「原料」にリサイクルされていく様子がよく解る。
  解体現場で木材として分別されてきた廃棄物の中にも、木材以外の異物が入っていることがしばしばある。木材の袋を燃えるゴミと勘違いしているのか、特に気にしていないのか……。ペットボトルや缶コーヒーが紛れていることもあるそうだ。これが建設現場の現状なのだろう。そのため現場から運ばれた木質系廃棄物を工場内で一度プールし、手作業で仕分けしてから原料になるものだけが、木くず処理プラントに入れられる。写真のような異物やビニールはゴミとして最終処分場に運ばれるのである。

  不純物を除去して見事な木材チップができあがった。木材チップは不純物の混入度やチップの大きさによって細かく分けられ、ダンボールやパーティクルボード、たい肥などの原料になる。最近ではバイオマス発電施設の原燃料にも利用されている。

【混合廃棄物処理プラント】
  ここは分別されていない建築廃棄物が処理されるところだ。解体現場の廃棄物が一切合切そのまま運ばれてきたようで、まるで最終処分場のゴミの山のようだ。ユンボが山を少しづつ崩し、それを手作業で仕分けして、リサイクル可能な材料を抽出する。解体時に建物をそのまま機械で壊してトラックに積んでしまえば、現場はすぐに更地になるが、その廃棄物を整理するのは大変手間のかかる作業なのである。
  解体時の分別がいかに大切か、ここの風景が物語っている。

【がれき類処理プラント】
  コンクリートの廃材などを粉砕し、道路の路盤材や再生砂をつくっているプラントだ。コンクリートに入っている鉄筋や、不純物を分離する作業が行われていた。



「中間処理工場は単に建設系産業廃棄物を処理しているのではなく、解体された資材からリサイクル可能な商品を作り出す工場なのだ」という安田常務の言葉が印象的だった。
  確かに木くず処理プラントから出てきた、木材チップは、ふんわりと柔らかく「原料」そのものである。建設系産業廃棄物が素材の特性を活かした商品にリサイクルされていることが良く理解できた。現在のリサイクルは昔のように直接的ではなく、2次生成材として確実に再生されていた。僕の中で「造る事」と「壊す事」が再び繋がったような気がした。

  事務所で和田所長や社員の皆さんから現場の話を伺うことができた。中間処理工場は破砕・リサイクル施設技術管理士という専門知識を持った管理士の基で適正にリサイクルされ、リサイクルできない物を最終処分場に持ち込んでいる。さらに自社の工場から出た最終廃棄物が適正に処分されているか、処分場を定期的に視察しているとのこと。信頼できる業者に頼んでも、最期に確認するのは自分の目というわけだ。「トレーサビリティー」という言葉を最近よく耳にするが、我々の手に入ってくる物だけでなく、手から放れた物も後が辿れるようになっていたのだ。
  このように建設系産業廃棄物を処理する事は非常に手間のかかる作業なのである。それ故、適正な処理を行わない業者も中にはいるという。一昔前は産業廃棄物の不法投棄の問題が話題になったが、自分の手を放れた廃棄物がどうなっているのかを確認するのも重要な仕事なのだ。
 
  建物を建てる時から、解体そしてリサイクルの事を考える。当たり前のことなのに忘れていた重要な項目だ。このことが抜け落ちてしまうと解体にかかる費用が捻出できなくなり、不適正な処理に繋がる恐れがある。これは建設業界だけの問題ではなく、発注者(施主)や建物を使う人みんなが地道に取り組くんでいかなくてはならない項目だと思った。

見学を終えて空を見上げると、空に大きな虹がかかっていた。



■ 参考
大空グループ

 


 
 
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