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『国営昭和記念公園』〜〜花みどり文化センター〜〜

 

 立川駅から伊勢丹の横をてくてく歩くこと10分、「あけぼの口」から国営昭和記念公園に入ると、広大な芝生の広場に地面が隆起してできたような奇妙な構築物が見える。これが「花みどり文化センター」だ。あえて構築物と表現したのは、外観からはそれを建物と呼ぶべきかどうか迷ってしまう程今までの建築とは違った外観だからだ。建築クン(建築愛好家とも言う)的にはワクワクする空間と出会えそうな予感がして、足取りが軽くなった。
 近くで見てようやく建物と判別できるのだが、一般的な建築の構造要素である「柱」や「梁」、「屋根」という概念にとどまらないこの建物は正に時代を先取りしたデザインと言えるのではないだろうか。屋根には樹々が植えられているが、ちまたで言うところの屋上緑化の範疇に納まらず、地面その物(人工地盤)が建物の上につくられている。なだらかな起伏もあり、変化に富んだ屋上庭園だ(「浮游の庭」という)。驚いたことにここには小川も流れていて、滝となって崖(ガラス壁)から流れ落ちているのだ。凄い!!


 

花みどり文化センター外観

 

浮游の庭

 

花みどり文化センター内部

 

 
花みどり文化センター内部

 

トイレ棟内部

 

 

トイレ棟外観

  私だけ感動していても、読者の皆さんから「何のことだかさっぱり解らん」と怒られてしまいそうなので、もう少し詳しく説明しよう。この建築の基本なイメージとしては、公園側から架かるみどり橋と同じ高さまで地盤を持ち上げ、持ち上がった地盤と元の地盤の間に「花みどり文化センター」がサンドイッチされているといった雰囲気だ。みどり橋から来た人にとっては、浮游の庭は遊歩道の延長のように感じ、あけぼの口から来た人にはガラスの崖のように見える。持ち上げた人工地盤をくり貫いてあけぼの口側に部屋を造ったと考えていただければ判りやすいかもしれない。

 このようにできた室内空間を建築的には「ボイド(空隙、空)」と呼んでいるが、「花みどり文化センター」の基本コンセプトの中にもこの言葉が頻繁に登場するのだ(学識経験者と言われる方々も難解な横文字を好んで使う)。この「ボイド」の発想は梁と柱、あるいは壁で空間を造り出す方法とは逆で、引き算的な方法で空間を生み出していく考え方なのだ。つまり崖の土をどんどん除いていって、もうこれ以上土を取り去ると上の天井が崩れ落ちてしまうようなぎりぎりの部分が、ランダムに配置された円形構造部分(シリンダー)のイメージである。まあ物理的にはシリンダーが人工地盤を支えていることには変わりないので、シリンダーを柱と言ってしまえば単純なのだが、建築クンはイメージを大切にしたい人種なので、回りくどい言い回しを許していただきたい。

 うんちくは程々にして建物の中に入ってみよう。円形シリンダーの構造体の中にトイレや、厨房、倉庫、エレベーター等の外部との区画が必要な要素を押し込めて、それ以外の要素は全て「空」のスペースに配置されている。廊下や部屋という既成概念にはない流動的な空間ができ上がっていて面白い。天井の構造や、ガラスの窓にも様々な趣向が凝らされているが、花みどり文化センターのホームページ中の「グリーン・マガジン」に詳しく載っているので、興味のある方はそちらを読んでいただきたい。

 本館の内外空間を楽しんだ後はゆめひろばの右手奥にあるトイレ棟に行ってみよう。トイレの壁にランダムに開けられた開口部に建築クンは「こっ、この感じは…」と反応するのではないだろうか。マニアックな話はさておき、実はこの建物も「花みどり文化センター」と同じコンセプトで造られているのだ。3つのコンクリートのシリンダーを繋ぐように細かい鉄骨網(これをトラス構造と言う)のような屋根が乗っているが、このトラスの外周部にガラスの壁を入れて、屋根を植栽すると「花みどり文化センター」と同じ空間ができあがるのを想像してもらえただろうか?



 例によって建築的な視点で施設の紹介してきたが、特に建築に興味の無い人にとってこの建物はどうかと言うと、一回は中に入っても用もなくリターナーになるかどうかは微妙だ。と言うのは、施設の最大の売りである床壁映像展示システム「SIMPLE」(感知式対話型多目的映写環境の略)がうまく活用できていないのである。このシステムは文字通り床と壁に映し出された映像を使った観客対話型のシステムなのだが、室内が明るすぎるために何が映し出されているのか読み取れなかった。室内を暗くすれば解決できるように思えるが、そんな単純なことがこの手の建築では案外難しかったりする。
 グリーン・マガジンにはプロジェクトXのような開発話が載っていただけに「SIMPLE」が体験しづらいのは残念だ。ちなみにこのシステムは開発時には「どこでもドア・システム」の愛称で呼ばれていたようだが、こういう事態に備えて「夜ランプ」(点灯すると、電球の光が当たった部分が暗くなる電球)も一緒に開発してほしかった……。いずれにせよ、暗くならないと諸々の映像システムが生きてこないので、何らかの方法でうまく空間を整えてもらいたいと願うばかりである。

 花みどり文化センターは建築的には見所の多い建物で、今後この建物を見に多くの建築クンが訪れることだろう。室内の一点を凝視して固まっている人、スケッチや写真を撮ったり、壁や窓枠を擦っている人を見かけたら、それはきっと建築クンに違いない。一見挙動不審に映るかもしれないが、怪しい者ではないのでご理解いただきたい。



■ 参考
グリーン・マガジン
 花みどり文化センターの計画段階からのコンセプトが、かなり詳しく紹介されています。

■一般の人でも楽しめる、ワクワク空間スポット
横浜港大さん橋国際客船ターミナル
 柱、梁、床という枠を最初に覆した建物として有名。
仙台メディアテーク
 ちょっと遠いですが、建築クンは避けて通れません。

 

 

 



 
 
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