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『国営昭和記念公園』〜〜日本庭園 その2〜〜

 

池から少し離れたところにある四阿と涼暮亭、そして2つの御手洗いについてリポートしよう。見所だけを掻い摘んで説明していくので、仕上材などの用語の説明は「その1」に戻って目を通していだきたい。


■ 四阿

小屋組

 

埋木


■涼暮亭(滝見四阿)

外観

 

一二三石


■東便所

子持ち格子
  南門をくぐって、左手に見えてくるのが「四阿(アズマヤ)」だ。この四阿は「昌陽」、や「清池軒」のような名称が付けられていないようで、単なる「四阿」と日本庭園のパンフレットに載っている。位置的にも目立たないところに建っているので、あまり期待していなかったが、ここも日本庭園の建物だけあり趣向を凝らした数寄屋建築だった。

「四阿」の見所は、小屋組にある。外観はおとなしく、平面形は正方形で屋根も素直な方行屋根になっているが内部は凄い。中に入ったらまず天井を見上げてほしい。追叉首(オイサス:桧錆丸太の斜材)が集中する頂部の束材が宙に浮いているのが解るだろうか。このような束を蕪束(カブラツカ)と言う。本来はここに柱を入れたいところだが、梁組の絶妙なバランスで柱を抜くことができるのだ。斜めに走る梁材(栗丸太ナグリ加工)が単純な間取りに動きを与えていて、実に軽快な小屋組になっている。

角に立てられている柱の足元に四角い蓋が側面に付いているが、これは柱と地面(コンクリートの基礎)を緊結しているボルトの穴を隠すための埋木である。伝統的な数寄屋造りだからと言って、全てが昔ながらの構法通りというわけではなく、地震に対する構造的な対策もしっかり行われている。「和」の建物は見た目の仕上がりに非常に気を使うので、一見金物等とは無縁のように見えるが、人目の付きにくいところで構造補強が施されているのだ。栗柾目板の腰掛けも裏側で隠し釘が打たれているので、覗いて見ると面白いだろう。


池の北側にある「涼暮亭」は滝見の四阿。
小山の中を流れる沢の横に建てられた自然趣味の四阿だ。必要最小限の壁だけを設け、建物のイメージとしては正に屋根と柱の建築と言える。腰掛け(切れ目縁と言って縁板と竹を交互に張った意匠も素晴らしい)に座って、滝の音に暫し耳を傾けたくなるような、気持ちのいい場所である。

建築的な見所は床。砂利の洗い出し仕上げの中に散りばめられている黒っぽい石に注目してほしい。日本庭園好きの人は小石のデザインに反応したのではないだろうか。これは修学院離宮の隣雲亭の土間に用いられている意匠で一二三石(ひふみいし)と呼ばれている。ちなみに隣雲亭の一二三石では赤と黒の鴨川石が使われているらしい。となると涼暮亭の石は多摩川の石?資料がないので定かではないが、そうだとすればちょっと嬉しいかな。


最後になってしまったが、御手洗いのことも少し触れておきたい。庭園内には御手洗いが東と西に一ヶ所ずつあるが。共に数寄屋造りで、これがまた良質な建物なのである。内部の仕上げは今まで紹介してきた四阿と同等、もしくはそれ以上の造りになっていると言えば、その質の高さを理解していただけるだろう。

ただ単に用を足すだけではもったいないので、じっくりと材料を鑑賞しながら使っていただきたいお便所なのである。

東便所と西便所は同じ数寄屋造りでも、性格がちょっと違う。東便所の方が、上品で洗練された空間のように感じるのだ。たとえば正面の窓についた格子一つとってもよく考えられている。男子便所の格子は普通の縦格子なのに対して、女子便所の格子は子持ち格子(太い親格子と細い小格子で組まれた格子)になっていて、中が見えづらいように工夫されている。

入口に近い西便所しか使ったことがない方は是非こちらにも足を運んでもらいたい。東便所の方が空いているので、ゆったりと建物を楽しめるはずだ。



さて、二回にわたって日本庭園の数寄屋建築を紹介してきたが、歓楓亭や盆栽苑などの主要な建物についてはコメントをすることができなかった。実は時間がなくてそこまでたどりつけなかったというのが正直なところだ。四阿と便所だけでもじっくりと見出したらまる一日かかってしまうほどの建物なのである。今回紹介できなかった部分はまた機会を見つけて取材したいと思っている。

日本庭園を歩いて一つだけ残念に思ったのは、庭園全体としては高揚感に欠けるところだ。素直すぎるというか、欧米の日本庭園のような雰囲気なのである。同じような印象を三渓園でも感じたが、桂離宮や修学院離宮と同じ数寄屋建築のある庭園なのに何が違うのだろうか…。

これは庭園のバリアフリー化によるところが大きいと思う。奥ゆかしさを演出する小径や高低差、踏み石の凹凸、飛び石などの足元から伝わってくる感触が少ないために、園内が単調になっているような気がするのだ。公園なので視界の開けた広い歩道も必要だが、やはり数寄屋建築には五感を刺激する小径が似合う。


■ 参考文献
・日本建築の鑑賞基礎知識
・和風デザイン図鑑 〜意匠・しつらい・造作〜
・日本の美術 〜修学院離宮〜 至文堂



 
 
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