【第4回】

いつもの場所のいつものアイツ

立川駅北口でアウトドア用の腰掛けに座り、遠くを見つめて黄昏ているサングラスの青年がいる。足元には鮮やかに色づけされたポストカードと、円柱状の不思議な道具が置かれている。独特の雰囲気を身にまとい、ただそこに座っている彼は何者だ!?

プロフィール
名前 MALU (丸=まる) お洒落な帽子にサングラスという姿で、夜になると「いつもの場所」に現れる。まるで景色の中に解け込むようにごく自然に座るこの姿を目撃した人も多いのでは?
住所 東京都立川市
年齢 22歳
職業 似顔絵師/ジャグラー

Q:どんな活動をしているのか教えて下さい。
A:気が向いたときに立川駅北口の、この場所に座ってポストカードに絵を描いています。遊びに来てくれたお客さんに、似顔絵を書いてあげたりもしてるんですよ。あと、このディアグロっていう中国のコマを使って、ジャグリングというパフォーマンスもします。

Q:どうしてこの活動を始めようと思ったんですが?きっかけを聞かせて下さい。
A:以前、立川の街をブラブラしていたら、あるストリートミュージシャンの男性と出会ったんです。音楽を通じて「自分らしさ」を表現している彼を見ていたら、僕も「僕らしさ」を表現できる人間になりたいと思うようになりました。そのことを彼に相談したら、ただ「お前もやればいいじゃん」とだけ言ってくれました。「やれるだけやってみろ」僕にはそういうメッセージに聞こえたんです。もともと絵を描くことが得意なので、まずは似顔絵などを描いて、たくさんの人に見てもらおうと考えました。たくさんの人の目に触れる場所を探したら、それが路上だったんです。
ジャグリングは人が注目してくれるし、体を動かすとアイデアが浮かびやすくなるので好きなんです。板橋区にあるジャグリング専門店まで行って買ってきたんですよ。
Q:人に勧められて始めたということですが、当時は苦労も多かったんじゃないですか?
A:そうですね。いくら得意とは言っても、それまで人に見てもらうための絵なんて描いたことがなかったから、腕を磨くために必死でした。大阪に有名な似顔絵師の方がいらっしゃるんですけど、その人のもとで修行をしていたこともあるんですよ。そこで人物の顔の描き方を学びました。
Q:活動をしていて嬉しい瞬間ってどんなときですか?
A:いろんな人と出会えることですね。僕がこうして座っていると、通り掛かりの人が「こんにちは」とか、声を掛けてきてくれるんです。僕の絵を見て誉めてくれたり、人生相談を持ちかけてきてくれたりと、さまざまですね。ごく自然にこの場所に座って、好きな絵を描いている僕を見て、全く知らない人が当たり前のように話し掛けて来てもらえることが嬉しいですね。

Q:立川という街を選んだ理由は?
A:実家が隣りの武蔵村山市なんですが、立川にはよく遊びにきていたんです。僕の人生を変えてくれたストリートミュージシャンの方と出会ったのも立川だったので、この街で活動しています。現在は立川市内で友人の家に住ませてもらっています。
Q:今後の目標を聞かせて下さい。
A:有名な画家になりたいとか、人気ジャグラーになりたいとか、そういうものを目指しているわけじゃないんです。ただいつまでもストリートにいちゃダメだって思ってます。いつまでも同じ人間が立川にいたら、僕と同じようにこの街で新しい人生を始めようとしてる人達が活動しにくいと思うし…。次の段階としては、仲間のバンドがやろうとしてるライブのポスターやフライヤーを描いてみたいですね。この街で活動してる仲間のイベントに、自分の力を生かして参加したいです。

MALUさんにはココで会える!
今後の活動予定

日時 不定期(18:00以降から開始することが多いです)
場所 JR立川駅北口
交通 JR中央線・青梅線・五日市線・南武線「立川駅」
多摩都市モノレール「立川北駅」
都合により変更されることがあります。ご了承ください。

取材後記
決して派手さはない「指定席」に座るMALUさんの姿だが、特有のオーラを発している。その空気に惹かれて突然取材を試みたのだが、彼は快くインタビューに応じてくれた。彼流に言えば、「ごく自然に」会話をしてくれたといったところだろうか。今日も立川駅には、住民然としている彼の姿があることだろう。見かけたときには声を掛けてみよう!【インタビュー・撮影 大熊雅樹】